情報化社会の進展に伴い、大学の「情報学部」が注目を集めています。しかし、インターネット上では「やめておけ」という否定的な声も少なくありません。なぜそのような意見が出るのでしょうか?
「情報学部やめとけ」と言われる背景とは?
就職先が幅広く進路に迷いやすい点
情報学部は、IT企業をはじめ、金融、製造、医療、エンターテイメントなど、非常に幅広い業界への就職が可能です。これは大きな強みであると同時に、専門分野を絞りきれず、結果として進路に迷ってしまう学生もいます。例えば、プログラマーとして働くか、データサイエンティストとして社会課題を解決するか、はたまたシステムコンサルタントとして企業を支援するかなど、選択肢が多すぎるために「何になりたいか」が定まらないケースが見られます。
プログラミングや数学への適性が問われる
情報学は、コンピューターの仕組みやアルゴリズム、データ分析などを深く学ぶため、プログラミングや数学の知識が不可欠です。入学前からこれらに苦手意識がある場合、講義についていけなくなる可能性があります。特に、高度なプログラミング言語の習得や、論理的な思考を要する数学的アプローチは、適性が問われる部分です。しかし、大学によっては文系出身者向けの基礎カリキュラムが用意されているため、事前に確認することが重要です。
学ぶ範囲が広く、目的が曖昧になりやすい
情報学部では、コンピューターサイエンスから情報社会学、デザイン、メディアアートなど、非常に多様な分野を扱います。この広範さが、特定の専門性を深めたい学生にとっては逆にデメリットとなることがあります。あれもこれもと手を出した結果、どれも中途半端になってしまい、「結局何を学んだのか」という目的意識が曖昧になる人もいます。入学前に、自分がどの分野に興味があるのか、何を目指して学びたいのかをある程度明確にしておくことが、後悔しないための鍵となります。
情報学部のメリットと可能性
IT業界やデータ分析分野での活躍が期待できる
情報学部で得られる知識やスキルは、今後の社会でますます需要が高まるIT業界やデータ分析分野で特に力を発揮します。ウェブサービス開発、モバイルアプリ開発、システムエンジニアリングといった職種はもちろん、ビッグデータを活用して企業の経営戦略を立てるデータサイエンティスト、AIを活用したサービスを企画するAIプランナーなど、最先端の分野で活躍するチャンスが広がります。
AI・IoTなど将来性のある分野に強い
情報学部のカリキュラムは、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、サイバーセキュリティ、クラウドコンピューティングなど、将来性が期待される分野を多く含んでいます。これらの技術は今後、私たちの生活や社会のあり方を大きく変えていくとされています。情報学部でこうした分野の専門知識を身につけておくことで、将来のキャリアにおいて優位性を築くことができます。
理論と実践のバランスを身につけやすい
情報学部では、コンピューターや情報に関する理論的な知識だけでなく、実際にプログラミングやシステム開発を行う演習や実習が豊富に用意されています。これにより、学んだ知識を「使えるスキル」として身につけやすいのが特徴です。理論と実践をバランス良く学ぶことで、課題解決能力や創造性が養われ、卒業後すぐに現場で活躍できる人材へと成長することができます。
進学前に確認しておきたいポイント
文系・理系のどちら寄りかでカリキュラムが異なる
情報学部と一言で言っても、そのカリキュラムは大学によって大きく異なります。数学や物理を重視する理系寄りの大学もあれば、社会学や心理学、デザインなど文系寄りの分野に力を入れている大学もあります。自分の得意なことや興味のある分野に合わせて、各大学のシラバスを詳しく調べてみましょう。
プログラミングの基礎知識があると学習がスムーズ
入学前から、簡単なプログラミング言語(Pythonなど)の基礎を学んでおくと、大学での学習が非常にスムーズになります。高校で情報科目を履修していなくても、独学で入門書を読んだり、オンラインの学習サイトを利用したりして、少しでも触れておくことをおすすめします。
卒業後の進路や職種のイメージを持っておくことが重要
「情報学」という漠然とした学問ではなく、「卒業後にどんな仕事をして、どんなふうに社会に貢献したいか」という具体的なイメージを持つことが大切です。大学のオープンキャンパスに参加したり、実際にIT企業で働く社会人の話を聞いたりすることで、自分の目指すべき方向が見えてくるでしょう。
まとめ
情報学部は、AIやデータ分析など将来性の高い分野を学べる一方で、その広範さゆえに進路に迷う可能性もあります。大切なのは、入学前に「なぜ情報学を学びたいのか」「卒業後にどんな自分になりたいのか」を具体的にイメージすることです。各大学のカリキュラムをよく比較し、自分の興味や適性に合った学部を選ぶことが、後悔しない進路選択の第一歩となるでしょう。