「聴く読書」として人気のオーディオブックサービス、Audible。本を耳で聴ける手軽さから利用者が増えていますが、「内容が頭に入ってこない」「読みっぱなし（聴きっぱなし）になってしまう」という声も少なくありません。
なぜ、Audibleで聴いた内容をなかなか理解・記憶できないのでしょうか？その主な理由と、理解を深めるための具体的な対策について解説します。
Audible（オーディブル）の内容が頭に入らない理由
聴覚より視覚の方が情報処理しやすいタイプ
多くの人にとって、文字を読むという行為は長年の習慣であり、視覚から情報を得ることに慣れています。特に、複雑な内容や専門的な知識をインプットする際は、図や表を目で追うことで全体の構造を把握しやすくなります。
一方、聴覚は、音として流れてくる情報を時系列で受け取るため、文章全体の構成を俯瞰するのが難しい場合があります。そのため、視覚的な情報処理を好む人にとって、Audibleは内容が定着しにくいと感じることがあります。
周囲の環境やながら聴きによる集中力の低下
Audibleは、通勤中や家事、運動中など、いわゆる「ながら聴き」ができる点が大きな魅力です。しかし、その手軽さゆえに、他の作業に意識が分散してしまい、内容に集中できない場合があります。
また、周囲の騒音や話し声、電車のアナウンスなど、外部からの情報が聴覚に入り込むことで、さらに集中力が妨げられることも少なくありません。情報が断続的になると、話の流れを見失い、内容が頭に入りにくくなります。
読み上げスピードや声質との相性の問題
Audibleでは、プロのナレーターや俳優が朗読しています。そのため、読み上げスピードや声のトーン、癖などが、聴く人との相性に影響することがあります。例えば、普段自分が読む速度よりも速いと感じたり、声質が好みでなかったりすると、聴くこと自体が苦痛になり、内容に集中しづらくなります。
さらに、朗読される言葉の選び方や話し方のスタイルも、内容の理解度に影響を与える可能性があります。
内容をしっかり理解するための工夫
メモを取りながら聴くことで記憶に残りやすくなる
Audibleを聴く際に、重要なキーワードや気になったフレーズをメモに取る習慣をつけることで、記憶への定着率を大きく向上させることができます。これにより、情報を能動的に処理するようになり、聴くことへの集中力も高まります。
紙のノートだけでなく、スマートフォンやタブレットのメモ機能を使うのも良いでしょう。Audibleのアプリ自体にもブックマークやハイライト機能があるので、それらを活用するのも有効です。
スピード調整で自分に合ったペースにする
Audibleでは、再生スピードを細かく調整できます。もし、朗読が速すぎると感じる場合は、少し速度を落としてみましょう。逆に、慣れてきたら少し速度を上げて効率的に聴くことも可能です。
自分にとって心地よい、集中しやすいスピードを見つけることで、内容がよりスムーズに頭に入ってくるようになります。
同じ箇所を繰り返し聴くことで理解を深める
特に難解な内容や重要なパートについては、繰り返し聴くことで理解度が深まります。1回で全てを理解しようとせず、何度も同じ箇所を聴き直すことを前提に利用してみましょう。
電車での移動中など、まとまった時間が取りにくい場面でも、気になった部分だけを繰り返し聴くことで、隙間時間を有効活用できます。
聴く読書に向いている人・向かない人の傾向
音声学習に慣れている人は吸収が早い
ラジオやポッドキャスト、語学学習の音声教材など、もともと耳から情報を得ることに慣れている人は、オーディオブックの利用開始後もスムーズに内容を吸収しやすい傾向にあります。
これは、聴覚からの情報処理に長けていることに加え、集中して音声を聴く習慣が身についているためと考えられます。
視覚でのインプットが得意な人は定着しにくい傾向
一方で、紙の書籍やWebサイトなど、目で文字を追って情報を得ることに慣れている人は、Audibleでは内容が定着しにくいと感じることがあります。
このようなタイプの人でも、先述のメモを取るなどの工夫をしたり、聴覚での学習に少しずつ慣れていったりすることで、Audibleを効果的に活用できるようになります。
目的や内容によって学習手段を使い分けるのが効果的
Audibleは、小説や自己啓発書、ビジネス書など、幅広いジャンルを扱っています。内容が物語形式で流れを追うのが簡単なものや、耳から聞くだけで理解しやすい内容であれば、Audibleとの相性は良いでしょう。
しかし、専門的な知識を体系的に身につけたい場合や、図やグラフが多用されている本の場合は、紙や電子書籍など、目で読む方が効率的です。それぞれの学習手段の特性を理解し、目的や内容に応じて使い分けることが、効果的なインプットにつながります。
まとめ
Audibleで聴いた内容が頭に入らないと感じる理由は、個人の情報処理の特性や利用環境に起因していることが多いです。しかし、少しの工夫でその問題は解決できます。
メモを取る、再生スピードを調整する、繰り返し聴くといった方法を試すことで、Audibleをより効果的に活用できるでしょう。
